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日別アーカイブ: 2025年10月15日

第23回テント施工雑学講座

皆さんこんにちは!

合同会社小橋川テント、更新担当の中西です。

 

さて今回は

~“舞台裏”全部見せ~

 

素材選定→構造設計→縫製・溶着→骨組み加工→防炎・耐候→現地設営→保守まで、現場の“リアルな流れ”をポップに深掘りします。


1️⃣ 素材の科学:生地は“見た目以上にハイテク”

テントの主材料は大きくポリエステル織布+PVCコートポリエステル+PUコート帆布(綿)アクリルガラス繊維+フッ素系など。

  • PVCコート:耐候・耐水圧が高く、工場・倉庫用の常設に強い。可塑剤移行や低温硬化に配慮して、可塑剤フリー/耐寒仕様を選ぶのが昨今の主流。

  • PUコート:軽量・柔らか・発色良し。イベントや可搬型に◎。ただし加水分解への対策としてトップコート保管湿度管理が重要。

  • 帆布(綿):通気・質感が魅力。ただし常設では劣化が早いので撥水+防カビの併用が必須。

  • フッ素系膜材:超長寿命・自己洗浄性✨。大跨ぎ膜構造に使われますが、価格と加工難易度は高め。

選び方のコツ:用途→設置期間→風荷重→防炎法規→色・印刷→予算の順で絞る。**“軽さ or 強さ or 意匠”**の優先度を最初に決めると迷いません。


2️⃣ 構造設計:風と雨に“勝つ”カタチをつくる️

テントの敵は風・雨・紫外線。設計では以下を詰めます。

  • 骨組(フレーム):スチール溶融亜鉛めっき、アルミ押出材、ステンレス。可搬型はアルミが軽くて◎、常設は鋼管で剛性を確保。

  • 形状:Aフレーム、ドーム、ハイピーク、片流れ。屋根勾配で排水を確保し、水袋(たまり)を作らない角度を確保。

  • アンカリング:杭、ウエイト、ケミカルアンカー。地盤条件と風速想定で必要反力を計算。

  • 接合部ボルトの座金/ブラインドリベット/クランプの選定。振動対策のナイロンナットや緩み止めを標準化。

雨仕舞いの決め手:垂れ壁(バイザー)、水切りシーム、樋一体化。**パネル継ぎ目は“流れ方向に重ねる”**が鉄則です。


3️⃣ パターン設計&裁断:平面から立体へ✂️

生地は伸びる・縮む素材。CADで「製品型紙(パターン)」を展開し、縫い代・溶着余白・補強パッチを盛り込む。

  • 裁断:自動カッターや熱刃でほつれ・ヒートシールを制御。反物ロットで色差が出るので、同一面は同ロットで統一。

  • 補強:コーナー、アイレット(ハトメ)、テンション掛かる帯、ファスナー端は二重・三重貼り

豆知識:テントは“テンション”が品質。張力が均等に回る形にできていれば、風でバタつかず、寿命も延びます。


4️⃣ 縫製・溶着:針と熱で“水を通さない線”を描く

  • 縫製:本縫い+シームテープ熱圧着で止水。厚物はダブルステッチ

  • 高周波溶着/熱風溶着:PVC系では針穴ゼロの防水ジョイントが可能。見た目も美しく、強度も安定。

  • 金具:ステンハトメ、D環、面ファスナー、カラビナ。ガルバリウムや銅との接触腐食に注意し、絶縁テープや座金で対処。

品質の要:シーム部は引張試験(サンプル)で強度確認。量産前にテストピースを作っておくと安心。


5️⃣ フレーム加工:軽く強く、現場で速く組めるように

  • パイプ切断・曲げ:ロータリーバンドソー、ベンダーで精度管理。

  • 接続クイックピン/スプリングボタンで工具レス化、マーキングで組立手順を直感化。

  • 表面処理:溶融亜鉛めっきやアルマイトで耐食性UP。屋外常設は粉体塗装+亜鉛下地が長持ち。

⚙️設営性UPの小ワザ:ジョイントごとに色ラベル、パイプに番号ステッカー、取説はQR動画でサクッと学習。


6️⃣ 法規・安全:防炎・自消・風対策は“命”

  • 防炎性能:防炎表示のある生地を選定。屋内イベントや公共施設は必須。

  • 風速基準:可搬テントは10〜15m/sを中断目安に。常設は地域風速・地表面粗度で設計。

  • 避難動線:大型テントは出入口の幅・数誘導灯仮設電気の防水もルール化。

  • 養生・点検:ロープのささくれ、ベルト摩耗、金具変形は交換基準を明文化。

現場Tip:「降雨+風」で荷重は倍増イメージ。雨抜き・張り直しを怠らないのが事故ゼロの鍵。


7️⃣ 仕上げ・印刷:ブランドを“布”に載せる️

  • 昇華転写(ポリエステル):軽量・発色鮮やか。

  • UVインクジェット(PVC):耐候◎、大面積でもムラが少ない。

  • スクリーン:色のパンチ力に優れる。大量ロット向け。

  • 反射&蓄光:夜間イベントや工事現場で安全性UP。

デザイン実務縫い目位置・折り返しを見越してレイアウト。ロゴがハトメで欠ける悲劇を防ごう。


8️⃣ 設営・撤収の段取り術:早い=安全=美しい⏱️

  • 現調:寸法・障害物・風の抜け・車両動線を写真+図面で共有。

  • 動線:荷下ろし→パイプ仮並べ→屋根生地→脚起こし→テンション調整の一筆書き

  • 役割分担:合図は短い3語「いきます/どうぞ/止め」。

  • 撤収:乾燥→汚れ拭き→折り目合わせ→防虫剤+乾燥剤で保管。

クリーニング:土汚れは中性洗剤、カビは弱アルカリ&すすぎ徹底。溶剤はコートを傷めるので注意。


9️⃣ サステナブルテント:長寿命×資源循環♻️

  • 部位交換式:屋根だけ・側幕だけモジュール交換で廃棄物を減らす。

  • 再生ポリエステル糸・可塑剤フリーの採用。

  • 解体しやすい設計:金具と生地を分別しやすく。

  • 補修文化:小穴はパッチ溶着、ステッチほつれは再縫製で延命。

CO₂見える化:重量・輸送距離・耐用年数から**“年あたりCO₂”**を算出し、提案時に提示すると喜ばれます。


ケーススタディ:物流ヤードの常設テント

  • 要件:風の強い湾岸、4t車が横付け、照明・換気必須。

  • :鋼管フレーム+高耐候PVC、ハイピーク形状で排水性UP。樋一体化+LED照明+換気扇

  • 結果:雨天作業性が向上し、荷扱い効率が15%改善。生地はパネル式で部分交換に対応。


まとめ

テント製造は、素材の科学×構造の理屈×縫製・溶着の技×現場段取り×安全の総合格闘技。布と骨で空間をデザインし、天気と上手に付き合い、長く使える仕掛けをつくる——そんな“機能美”の世界です。

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